辻村深月著『かがみの孤城』をレビューしていきます。

心温まる感動作で、とてもおすすめな作品です。
『かがみの孤城』が気になっている人は、ぜひ参考にしてみてください。


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『かがみの孤城』の基本情報


かがみの孤城の基本情報
タイトル | かがみの孤城 |
---|---|
著者 | 辻村深月 |
発行年 | 2017年5月 |
出版社 | ポプラ社 |
ページ数 | 上巻411ページ 下巻365ページ |
ジャンル | ファンタジー |
『かがみの孤城』は、本屋大賞をとった作品です。
ジャンル分けは難しいですが、ミステリー要素を含むファンタジーという位置づけになると思います。
『かがみの孤城』のあらすじ


あらすじ
学校に行けず家に閉じこもる、主人公・こころ。ある日、部屋の鏡が光りだし、こころは異世界へと吸い込まれていく。見知らぬ城で目を覚ますと、そこには狼に変装した女の子と同年代くらいの男女6人がいた。「城に隠された鍵を見つけたら、願いが叶う。期限は3月末」―誰かの願いは叶うのか。そして、7人が出会った理由と狼の正体は。
大人しくてちょっぴり臆病な中学生・こころが、城で6人の男女と出会い成長していく物語です。



優しくて温かい、超感動作でした。
『かがみの孤城』の魅力的なポイント


実際に『かがみの孤城』を読んで、魅力的だと感じたところを紹介します。
魅力ポイント
魅力①深い感動を味わえる
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、ちりばめられた謎が大きな感動につながる構造になっています。
ラストに向かうにつれて感動が高まっていく、読後感が最高な小説でした。
魅力②多様な個性をもった子たちが登場する
登場人物たちの表面的なイメージ
こころ | 大人しい 意見を主張するのが苦手 |
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アキ | 活発 物言いがはっきりしている |
リオン | イケメン 優しい |
フウカ | 冷静 ピアノが上手 |
マサムネ | 生意気 強がり |
スバル | 大人びている バランサー |
ウレシノ | 惚れやすい 空気が読めないところがある |
城で出会う7人は、性格も考え方もバラバラです。
一見「苦手そうだな」と思うタイプでも、読んでいくと魅力が見えてきました。
表は7人の性格の一面にすぎず、一人ひとりを知るにつれて印象も変わっていくはず。



いろいろなタイプの人間の”良さ”を知ることができ、視野が広がりました。
魅力③人間の描き方がリアルで感情移入させられる
『かがみの孤城』は、言動や心の動きなど人間の細かいところまで描かれています。
それ故に感情移入しやすく、こころが泣かされていると読者も一緒に傷ついて腹を立て、喜んでいるとホッとする。そんな読書体験ができる作品でした。



嫌な人の描き方も秀逸で、思わず「こういう人いる!」と心の中で叫びました。
『かがみの孤城』がおすすめな人とおすすめでない人


かがみの孤城は自分に向いている?
おすすめな人
- 学生時代はツラい思い出が多い
- 心温まる物語が読みたい
- 感情移入しやすい小説が好き
- 読みやすい小説がいい
おすすめでない人
- ファンタジーが苦手
- 短い小説を読みたい
- 弱い立場になったことがない
『かがみの孤城』は、学校や家庭で居場所を見つけられない7人の物語。



学生時代に孤独を感じていた人に、すごく刺さると思います。
一方「仕切るタイプだった」という人は、共感できず感動しにくいかもしれません。
またミステリー要素はあるけれどファンタジーが土台なので、現実的な物語が好きな人は合わない可能性があります。



とはいえわたしもファンタジーは得意じゃないですが、こちらは好きでした。
『かがみの孤城』を読んだわたしの感想


『かがみの孤城』を読んだ感想を書いていきます。


とにかく感動!涙がポロポロこぼれた
読み始めは「幼稚な雰囲気だな…好きじゃないかも…」と先が不安でした。
でも右肩上がりにおもしろくなっていき、いつの間にか物語に没頭。



ラストに向かうにつれ何度も心が震え、涙がこぼれました。
「心温まる」という感覚を改めて実感できる作品でした。
“嫌な先生・同級生“に共感
こころと学校の先生・同級生のやりとりを読んで、過去を思い出しました。
「こういう鈍感な先生いたなあ」「いつも誰かをいじめている人いたなあ」と。
『かがみの孤城』は、教師を目指している人にもぜひ読んで欲しい作品です。
そして、いろいろな性格や考え方の子どもたちに寄り添ってあげてほしいと切実に思います。
文章はとても読みやすい
難しい表現はなく、読みやすかったです。
余白や心の声が多くて、流れるように読めます。



文章はやわらかく、物語の雰囲気とぴったりでした。
『かがみの孤城』に関するよくある質問


まとめ


『かがみの孤城』は、温かくて心が洗われる作品でした。
人間関係でツラい思いを経験した人(現在進行形の人も)におすすめです。



最後まで読んでくれてありがとうございます
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